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Hollywood,California(ハリウッド、カリフォルニア)
RHCPは、L.A.のハリウッド出身のバンドだ。彼らは、歌の中で何度もL.A.やハリウッドのことを歌っている。「Freaky Styley」の「Hollywood(Africa)」はもちろん、「True Men Don't Kill Coyotes」「Out In L.A.」「Organic Anti-Beat Box Band」「Good Time Boys」など、L.A.やハリウッドに言及している曲は多いし、「Californication」ではアルバム自体のテーマになっている。
もともとライヴを重ねて評価を得てきたバンドだけに、初期の時点で支持してくれた地元に対する愛着、想いは人一倍強いのだろうが、このバンドの表現するハリウッド、カリフォルニアの姿はとても興味深いもので、そこにはひとつのストーリーが浮かび上がってくるように思う。
「はじめに」で書いた「宝島」誌の「L.A.特集」の最初のページにはイーグルスの有名な曲「ホテル・カリフォルニア」の歌詞が紹介されていた。確かバーで、バーテンか誰かが「ここには、スピリッツ(精神。ここでは、酒のスピリッツとかけている)はないんだ」とつぶやく、というような詩だったと思う。西海岸は、60年代にサンフランシスコがヒッピー文化を生み出したりしたが、70年代の脳天気な長髪ハードロッカーの狂騒の後、完全に死んだと思われていたのだ、音楽的にも、文化的にも。件の曲の有名なジャケット写真 ? L.A.のセンチメンタルな夕焼けに浮かぶ「ホテル・カリフォルニア」の姿 ? をバックにひいた叙情的な文章の後、次のページをめくるとRHCPやスケボーやスーサイダル・テンデンシーズやらの写真がゴチャゴチャとコラージュされており、そこには、そうだ、「西海岸の逆襲」とぶっとい字でタイトルがふられていたのだ、確か。そういう心憎い演出が施されていた。思えばぼくの中でのRHCPとカリフォルニアのストーリーは、あのページをめくった瞬間に始まっていたのだ。
まさにRHCPの闘いは、「逆襲」といった感じだった。「死んだ」と思われていた西海岸は、まだまだくたばってなんかいない、おれ達はハリウッドのキッズを代表してるんだ、おれ達こそ西海岸で一番、西海岸はおれ達のものだ…。勢いまくるRHCPが提示したのは、新しい西海岸文化のセンス、リアリティだった。ニューヨークほど暗くはないが、かといって昔の長髪ハードロッカーほど薄っぺらくもない。表面的には明るくておバカだが、相当屈折しているし、その内側に抱えた苦悩も相当なものだ。RHCPこそ、まさに西海岸文化をそのまま体現していたバンドといえるのではないだろうか。
彼らはその西海岸を背負って立ち、西海岸から闘いを挑んだ。体を鍛え、ファンクで武装し、タトゥーで自らの肉体をフリーク化して…。
「西海岸文化」とはどんなものだろうか。それは、他の地域や、アメリカ全体の文化とも違う。ハリウッドは、いうまでもなく映画産業の中心地なのだが(実際アンソニーやフリーは俳優としても相当活躍している)、映画メディアの存在が、西海岸文化を、東海岸やその他のそれと区別しているのだろうと思う。ぼくの西海岸文化の印象は、こんな感じだ。ナイーブで傷つきやすい一面を持つが、その一方で非常に下世話で狡猾(自殺したロックスターの遺書を、Tシャツにプリントして売ってしまうような)。純粋だけどクレイジー…。そんな相反する二面性を持つところが特徴的だと感じる。「ハードコアなソフトポルノ」。そして、それはRHCPに対して持つ印象と似ているのだ。
アルバム「Californication」では、RHCPが、彼ら自身が体現したこの西海岸文化に負けてしまう様が描かれている。「Purple Stain」でちょっとだらけた感じで歌われるこんな歌詞に引っかかる。Knock on wood we all stay good. 'Cause we all live in Hollywood(木を叩いてオマジナイ おれ達みんな大丈夫 だっておれ達、ハリウッドに住んでるから)。ちっとも大丈夫じゃないのだ、きっと。全世界に伝播される恐ろしい西海岸文化(=Californication)の、まさに発信地、まっただ中にいるのだから。かの地から発信され、メディアを通じて伝えられるこの波は、もちろんアメリカだけでなく、ぼくらの周りにも浸透しているはずだ。
個別リンク:http://www.mine-d.com/article/archives/2004/06/hollywoodcalifo.html|↑