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「危険行為」
先日行われたサマーソニック2000。主催者クリエイティブマンのサイトでは、BBSに主催者批判の書き込みが氾濫していたらしい。少し覗いてみたのだが、そのこととは別に気になる書き込みを見つけたので、取り上げてみたいと思った。確か女性からの書き込みだったと思うが、「ダイヴやモッシュなどの危険行為を、もっと厳しく規制すべき」といった内容だった。フェスでも、こういった「危険行為」を禁止する旨の映像が何度もスクリーンで流れていた。もちろん、主催者の立場として、こういったメッセージを「建前」として流さなければならないのは分かる。だが、もし本当にこの種の「危険行為」が発生するたびにうるさく注意されたり、公演を中止されたりしたら、それはちょっと違うだろう、と言いたくなるだろう。
確かに比較的体が小さく、体力のない女性にはダイヴやモッシュは「キツイ」だろう。しかし、ダイヴやモッシュを、簡単に「危険行為」と言い切ってしまう考え方には疑問を抱かざるを得ない。
もちろんぼくだって、たまに見かけるダイヴやモッシュ「だけ」が目的で来ているような客には反発を感じるが、ライヴが盛り上がるにつれて自然発生的に起こるダイヴやモッシュに関しては、完全に肯定的にとらえている。ロックコンサートというのはハレ、ケでいうと「ハレ」の場である。クソみたいな日常生活のしがらみから離れて「非日常」に触れることのできる数少ない「場」であるとぼくは思っているし、そこでは、できるだけ思うがまま自由に振る舞いたいと思っている。なのに、ライヴの場にまでわざわざ日常世界のルールを持ち込んでどうするんだ。
もちろん、コンサート会場でなら何をやってもいい、と言ってるわけではないし、人身事故が起こったりしては台無しだ。先日もパールジャム(だったか)のライヴで死亡事故があったばかりだ。こうした事故は、もちろん色々な要素が複雑にからみあった結果起こってしまったという面が大きいだろうが、ぼくなんかは、ライヴ会場にいる個人個人の力量に左右されるところも大きいんじゃないか、と思ってしまう。しかし、だ。客側にロックコンサートが本来的に危険なものだという認識が欠けているために、かえってライヴの場を「危険」なものにしているのでは、と感じることがあった。
サマーソニックでだが、目の前で人が転んでいるのに、誰も助け起こそうとしない。モッシュの最中に人が転んでいたら、何も考えず、すぐに助け起こさなければならない。それは非常に危険なことだからだ。もしかすると、最近の客は、そういう「マナー」をまったくわきまえていないんじゃないの?こういったことは、誰かが教えてくれるものではないし、自ら「現場で」学んでいくしかないと思うが、ダイヴやモッシュを片っ端から規制していっては、「学ぶ場」など形成されるわけもない。
規制されることを求める人には、「自己責任」に基づいた自由、という発想がないから、事が起こったときにすぐ責任転嫁しようとする。目の前で人が転び、黙ってみていた結果死亡事故になったら、「危険行為」を取り締まらなかった主催者を非難するのだろうか。そんなことをする前に、その人にはできることがあったはずだが。
マッドハニーが初めて大阪に来たとき、呼び屋は普通のプロモーターではなく、たしか「タイム・ボム」という地元のレコードショップだった(間違っていたらごめんなさい)。ライヴに先だっての主催者代表のアナウンスはこんな感じだった。「ダイヴでもモッシュでも、何をやってもらってもかまわない。ただ、そばで倒れている人を見かけたら、すぐに助けてあげてほしい」。最後に「死ぬなよー」と言い残して、主催者代表はバンドにバトンを渡した。ライヴは上を下への大騒ぎになったが、もちろんけが人も死人も出なかった。
過剰な規制は客の無責任と意識の低下を招くだけだ。どうせロックを聴くなら、自己責任と他者への思いやりに裏打ちされた、「本当の」自由を獲得したいと思うじゃない。それともそんなに縛られるのが好きなのかな?
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