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「世界最強」って何よ

 2000年の来日公演くらいからだと思うが、RHCPの名前にやたら「世界最強」というキャッチフレイズがついて回りだした。雑誌記事然り、レコード会社の宣伝文句然りである。おおかた、やたら大げさな表現を連発するどこぞの低脳ライターが考え出したフレイズなのだろうが、この表現には最初からずっと抵抗を覚えていた。

 いったいこのバンドをどういう尺度で測って「世界最強」だと言っているのか、その辺りがまったくいい加減だ。レコードの売り上げ枚数だろうか?確かに「Californication」は世界中で素晴らしいセールスを記録したが、もっと多くのレコードを売り上げるアーティスト、バンドはいる。ではライヴでの観客動員数だろうか?これも確かに以前と比べると大幅に増えたが、もっと多い観客を動員するアーティスト、バンドはいる。RHCPは東京ドームで公演を行うワケではない。同じ理由で知名度に於いてもそうだ。

 ライヴアクトの激しさ?それを言うなら「母乳」ツアー、つまり初来日時のそれは確かに世界最強と言い得たかもしれない。あんなライヴをやるバンドは世界中探してもいなかったはずだ。しかし最近のライヴでは、それの善し悪しは別にしてライヴアクト自体はあの頃のような激しさはない。今頃になって「世界最強」とか言ってるんじゃねぇよ。ではバンドの演奏技術か?これも同様、彼らの技術自体はすばらしいが、同じくらいすばらしい演奏技術を誇るミュージシャンはいる。そもそも、個人的には「うまい/ヘタ」といった基準でバンドやアーティストを評価する事自体無意味だと思っている。自分が「いい」と思うか「悪い」と思うか。それだけだろう。

 かように、「世界最強」というキャッチフレイズには、何の根拠もない。イージーにこの言葉を使う人間は、自らの思慮のなさを露呈しているだけだと知るべきだろう。ファナティックなファンやレコード会社の宣伝担当者ならいざ知らず、言葉の使い方に対して敏感であって当然なはずのプロのライターがこの言葉を使っていた場合、そのライターはまったくもって信用が置けないと言える。その程度で「プロ」と名乗る事に一片の恥ずかしさも覚えないのだろうか。

 さて、ぼくはずっと以上のように考えていたのだが、アルバム「By The Way」が発表されてから、少し考え方が変わってきた。というのは、以上のような基準ではなく、また違った意味でRHCPが「世界最強」と言い得るかもしれないと思い始めたのだ。ぼくは「By The Way」レヴューの中で以下のように述べている。

仮に、スタイルや表面的な音楽性に左右されないような、曲自体の持つ強度、エネルギーを計る単位があってそれを「曲度」と呼ぶとすれば、本作に収められている曲はすべて曲度が高いと言えるし、それはこのアルバム自体の「アルバム度」が高い事を意味するし、さらには現在このバンドの「バンド度」が非常に高いという事がそうなさしめていると言えるのだ。

 つまり、現在のこのバンドを「バンド度」という価値軸において測る場合、これほど「バンド度」の高いロックバンドは他にはないのではないか。そう思うのだ。非常に個性的でアクの強いメンバー同士が集まり、それぞれの才能、技術を最大限にまで引き出しながらぶつかり合う中で、その「化学反応」をクリエイティヴな音楽に結実させていく…世界にロックバンド数あれど、そうしたオーガニックな作用をここまで具現化し、実際にいいものを作り出しているバンドはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ以外にないのではないだろうか。そう思う次第である。

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