Disc Reviews

Relationship Of Command/At The Drive-In

 プロデュースはロス・ロビンソン。あまり詳しくなくて申し訳ないのだが、コーンやリンプ・ビズキットをプロデュースした人らしい。このアルバムでも、随所に「最近のヘヴィネス」が顔を出している。しかし、このバンドの音楽的本領は、そうした今般多く見られるようなグルーヴィーなヘヴィロックではなく、あくまでストレートなロックンロールだと言える。ぼくなどは日々耳がオヤジ化していってるので、「ガレージ」などというありふれた言葉しか浮かばないが、昔流行った「ガレージロック」とはまた違い、もっと骨太で混沌とした音世界を提示しているように見られる。これより以前の作品は聴いていないのだが、本作はロス・ロビンソンの起用によって、重量感とスカスカしたガレージ的感覚とのバランスがうまく保たれているのではないか、と感じる。音程無視のヴォーカル、チープなギターサウンドなど、一見マイナスに見える要素を逆にプラスに転じさせるような、「カッコ悪いカッコよさ」にあふれている。その辺が、このバンドの最大の魅力ではないか。

 それにしてもこの疾走感はすごい。全力疾走で走り続け、石にけつまづいて転んで、倒れてるのにまだ足をバタバタ動かし続けてる、そんなイメージだ。

 演奏も歌も、けっしてうまいわけではない。だけど、人を無理矢理にでも納得させてしまいかねない勢いがある。今夏のサマーソニックに出演していたのでライヴ映像を見ることができたが、まさにアルバムの音そのままの、激しいステージングだった。本当に「言いたいことは山ほどある」のが伝わってくるような、熱の入ったパフォーマンスだった。

 音楽も大事だが、ぼくはこのバンドのヴィジュアルがけっこう好きだ。アフロヘア、タトゥー、独特のファッション…。RHCPを好きになったときも音楽だけでなく、そのスタイルや、バンドメンバー間でのみ通じる独特のユーモア感覚といったものを好きになった。人は、なにか「自分とは違う」ものに惹かれる傾向があると思うし、At The Drive-Inが提示するこうしたスタイルも、多くのファンを引きつける重要な要素になっているはずだ。

 このバンドの難点としては、やや曲調が一本調子に過ぎる点があげられると思う。プロデューサーもその辺は意識していたようで、様々なアプローチを試みて、アルバム全体が単調になるのを回避しようとしている。それでもやはり、1枚聴き終わるとかなり疲れてしまう。もっとも、初期のうちから欲張りすぎて、あまりバラエティに富んだ音楽性を追求しても仕方がない気がするし、「これがATDIのサウンドだ」というのをはっきり打ち出す必要があるとも言えるので、こうした批判は当たらないかもしれない。ただ、個人的には少し毛色の違う「invalid litter dept.」といった曲をすごくいいと思ったので、こういった引き出しをもう少し見せてくれてもよかったかな、という気はする。

 ぼく個人の好みからいうと「これは!」というほどの衝撃はなかったし、客観的に見ても特に目新しいことをやってるわけではない。しかし、この作品のクオリティが高いことは間違いないし、いいアルバムだとも思う。これから先、彼らがシーンの中心的存在となっていくことは間違いないだろう。今後も楽しみに見守っていきたいと思う。

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