Show Reports
Rage Against The Machine(2008年2月7日・大阪城ホール)
再結成なったレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(以下レイジ)の来日公演。mine-D個人的に言うと、レイジに関してはちょうどロックをいったん「捨てた」時に表舞台に出てきたという経緯もあり、そんなに熱心なファンという訳ではなかった。アルバムは一応全部聴いているけれど、曲名はおろかドラムとベースの人に至っては名前も知らない、というくらいのファンレベル(今はもう分かった)。なので、以下はそのつもりで読んでほしい。いぢめないで。
最初にはっきりさせておきたいのはバンドとしてのレイジは高く評価されるべきであり、政治的なメッセージとラップ、エッジのきいたヘヴィ・ロックを音楽的に昇華させたという点において、他のバンドでは絶対たどり着けないレベルに達しているという事だ。まさに唯一無二のバンドだといえるだろう。しかし、フジロック'97のステージをWOWOWで見たmine-Dが感じたのは、めちゃくちゃカッコいいんだけど、いまいち感情移入できないというか、なんかこう、肩に力が入りすぎているんじゃないっすか?という印象だった。もうちょっと力抜いたバンドの方が好きだなぁという感じ。ただ、ザックのライム、トムのギターだけで出しているとは思えないユニークな音作りなど、音楽的にはその時も今も、一貫して本当にすばらしいと思う。
そして非常に印象に残っているのが2000年MTV Music Awards。賞争いで大嫌いなリンプ・ビズキットに破れて、頭に来たレイジのティムが舞台に上がり抗議をするという騒ぎがあった。これは精神としてのヘヴィ・ロックが明らかに敗北した事だとmine-Dは思っていて、もちろんこの事件だけが原因ではないんだろうけれど、ほどなくしてザックが脱退して、バンドは解散してしまった(それにしてもリンプ・ビズキットって今何してるんだろうね)。
その後、ザック以外のメンバーはオーディオスレイヴ、ザック自身はDJ Shadowと一緒にソロ作をリリースしたりとそれなりに活動してはきたが、はっきり言ってどちらもレイジのファンを納得させるものだったとは言い難い… よね?オーディオスレイヴは悪くなかったと思うけど、ザックに関しては「いったい何やってんだよ」とイライラしていたファンも多いに違いない。ほとんど何もニュースが聞こえてこなかったし。
そして、ここへきてのいきなりのリユニオン。一度も生で見ていなかったmine-Dとしてはもちろん大歓迎なんだけれど、ザック自身はどう思ってるんだろう、というのがまず思った事だ。「活動家」としてのザックはここ10年なんら成果を上げられていないのに、昔のメッセージをまた、そのまま歌うの?ザックはそれでいいの?私のこと好きなの?と思ってしまう。いや、他のバンドならこんな風に感じることはまったくなかっただろう。それに、おれだってケツの青いガキじゃありませんから?ロックンロールの胡散臭さなんて許容した上で聴いてるし、実は金のためにやるんだって言っても普通のバンドなら「まあそんなもんだよね。分かっててもカッコいいよ」で済ませていたと思う。でもレイジだけは!レイジだけは「ガチ」だったと思うが故に、やる側の意識として納得してるのかい?というのが、部外者的ファンながら気になっていたのだ。
しかし、結論から言うとそんなmine-Dの拘りを吹っ飛ばすくらいのすばらしい内容のライヴだった。大阪は、RHCP2002年の時と同じ細かいブロック分けの所為もあるのか、その後の東京公演二日間と比べると若干おとなしめだったようだ。それでも1曲目が始まった時の爆発感、躍動感はものすごいものがあったし、ステージでザックやトムがあれだけ激しく動くというのも意外だった。ブランクがあってこのステージングっていったいどんだけだよ。また、実際生で見てみると客に暴れる事を要求しているというかモッシュしないのが不自然なくらい「煽る」曲が多いんだな、とも感じた。当然それを分かっているだろう客のエキサイトぶりも(リアルタイム世代は体力的にきつくなってきた方も多かったろうが)、なかなかのものだった。全体的に「ただ暴れたいだけ」のアホ客もそんなにいなかったと見えるし(まあいないとは言いませんが)。特にアンコール後の2曲の「持って行かれ」具合はすごかった。ライヴが終わった頃には「活動家としてのザックの成果が云々」などという自分の拘りが、なんだかどうでもいいと思えてきた。
それまでアルバムを聴いたりライヴDVDを見たり、と自分なりの「レイジ像」を理解しているつもりでいたが、まったく理解などできていなかったんだ、と気づかされてびっくりした感じだ。生でライヴを見て、初めてその凄さが分かったのだ。いまやiPodに入っているアルバムを改めて聴き直し、YouTube で映像を探しまくって見ている毎日。ライヴ見に行ったおかげで彼らのファンになれた。行ってよかった。歌詞とか覚えてみようかな、とちょっと思ってる。
昔のレイジのライヴは「殺気立っていた」という話をよく聞くのだが、今回見た印象としては確かにザックの表情は真剣で険しいし、情感の込め方も尋常でないものがあったけれど、時折笑顔を見せたり、終演時メンバー4人で肩を組んで客に手を振ったりと、なんとなくほんわかした雰囲気も感じられた。8年熟成されていいコクが出たんじゃないですか的なちょっと偉そうな感慨を持ったりもした。部外者なのに偉そうにすみません。すみません。とにかく、mine-Dは今のレイジをすごく好きなことは確か。あとはバンドがこれからどんな風に展開していくのか、というところが焦点だろうか。今の時代に即したメッセージをたたきつけるような新作を期待するのは、少し欲を出しすぎというものだろうか。
個別リンク:http://www.mine-d.com/article/archives/2008/02/rage_against_the_machine_osaka.html|↑